COLUMN

 名古屋の椙山女学園大学で実施された道具学会で、インクルボードの研究発表を行ってきました。発表の機会は、産学連携として一緒に取り組んでいる札幌市立大学から頂いたもので、開発を手伝ってくれている札幌市立大学の大学院生S君とともに参加しました。学会なので、ご参加されている方々は、広い意味で先生がほとんど。その皆様から、発表したインクルボードに興味とエールを頂き、たいへん励みになりました。

 さて、その道具学会に参加して、改めて思ったことがあります。それは、インクルボードも、道具なんだな、ということです。野球のバットやグラブが野球を楽しむための道具であるよう、インクルボードも、インクルーシヴなコミュニケーションを楽しむためのツールであるというその認識を改めて自覚しました。目的があっての道具。その目的が、つまらないもの、価値のないものなら、決してその道具は長く生きながらえないし、ましてや美しい道具は生まれないはずです。そのような考えで、身近な道具を眺めてみると、例えば、金づちには、美しい家具を作りたい、あるいは、素敵な家を建てたいという価値あるピュアな目的故、長きにわたって洗練された機能美を有しているように思えてきます。裏返して言うならば、道具の機能美は、なにかをしたいという思いの強さの現れと言えるかもしれません。

 我々の開発商品も、美しいものにしたい。つまり、誰もが一緒に遊べる場を、ほんとうに実現させたいという想いを、より真摯に考え求めていかなければならない。道具学会は、そんな想いを抱かせる機会となりました。道具学会への発表の機会を与えてくださった方、学会でアドバイス、励ましを頂いた方、皆様に、心よりお礼を申しあげたく思います。

道具学会のエキスカーション時訪問
依佐美送信所記念館展示の工作道具